「色」で高める集中力。
受験シーズン本番。「ここぞ」というときの瞬発力や集中力が必要となるのは、スポーツに限らず大学入試や高校受験も同じ。本番に強くなるためのトレーニングについて、「色」から考える集中力の高め方を、星槎のアスリート先生に聞いてみました。
スポーツと心理学色彩が与える影響
星槎国際大阪 副センター長 東田華奈
(星槎スポーツ新聞 vol.22)
心理学とは?
「心理学」と聞くと、皆さんはどのようなイメージを持つだろうか。カウンセリングや心のケアといったものはもちろん、相手の考えていることを読み取ったり、行動などの傾向からその人の特性を割り出したりするなどのイメージを持つ人も多いのではないだろうか。今では心理学も身近なものになり、いろんな場面で関連付けされることが増えてきた。
色は全てに影響する
スポーツと心理学も密接な関係にある。スポーツ心理学という分野も確立され、様々な研究がなされている。今回はその中でも『色彩』に焦点を当てていきたい。スポーツをする際、どんな競技であっても必ずユニフォームや道具が必要になってくる。今は機能性だけでなく、デザイン性も追求した商品が増えてきた。実際に購入する際、我々は好きな色を選ぶであろう。私自身もそうであった。
色に対する筋肉の反応
その色がパフォーマンスに少なからず影響を及ぼしているという研究結果がある。まずは色そのものと体の関係からみていこう。私たちの体は、光や色に対して筋肉が反応するようにできている。1910年にシュタインという人が実証し、この筋肉の変化を「トーナス変化」と呼んだ。光線を当てた筋肉が緊張、弛緩と変化することを数値化したのだ。これを「ライト・トーナス値」という。
リラックスと興奮の数字
通常の筋肉の状態を数値で23とすると、各色の光線に対する筋肉の変化は、赤が42、オレンジが35、黄30、緑28、青24、ベージュ23という値になる。しかも、この光線の色に対する効果は視覚からの影響を受けていないのだ。数値が小さいほど筋肉が弛緩している「リラックスしている」状態で、反対に数値が高くなるほど、興奮状態を表す。
「ベージュ」はリラックス
色に対して好きか嫌いかなどの感情とは関係なく、無意識のうちに色に体が反応するのである。この結果を見ると、ベージュが通常の状態と気付く人もいると思う。旅館などの和室や、木でできたログハウスに入った時に落ち着くと感じた経験がある人も少なくないだろう。これは畳のベージュや木の茶色で筋肉が弛緩する効果があったのである。
赤と青、それぞれの効果
では次に、色彩により視覚から与えられる心理的効果をみていこう。さきほどのトーナス変化で対照的な値となった、赤と青を例に出してみる。この2色にはそれぞれ次のような心理的効果がある。
赤…活力を感じ気持ちを前向きにさせる。アドレナリンを分泌し興奮を促す。熱や暖かさを感じる。食欲を増進させる。時間経過を早く感じさせる。目を引き関心を集める。
青…集中力を高める。食欲をコントロールできる。興奮を押さえ、気持ちを落ち着かせる。時間経過を遅く感じさせる。睡眠を促進する。
赤と青、どちらが結果を出せるのか・・・?
この情報があったうえで、どちらの色をユニフォームに選択すれば勝率が上がるのだろうか。もちろん個人のプレースタイルによっても違うだろうが、興味深い結果が出た。その結果については、次回で実体験も交えながら述べていきたい。スポーツをやっている人はもちろん、進学や就職など大きなイベントが控えている人には「色彩」にも意識を向けながら挑んでもらいたいと思う。